0人が本棚に入れています
本棚に追加
「でも、本当にエネルギーがもったいなかったんじゃないの?」
と言うので、桑折さんは微笑みながら、
「大丈夫だよ。漏れだした以上に、天道君が外から足してくれるから」
と言ってあげた。
翌日の学校は、パニックであった。
「おはよ~、桑折さん!」
「おはよう」
クラスメートがいつも通り桑折さんに挨拶をすると、桑折さんはニコッと微笑みながら挨拶をしてくれた。
微笑んでる……笑ってる?桑折さんが!?
状況を把握できず、ざわめく生徒達と、いつも通りの生活をする桑折さん。
遅れて教室に入ってきた天道君が、桑折さんを見つけて挨拶をする。
「おはよ~! 桑折さん!」
バカでかい声に振り返り、小さく笑いながら
「おはよう、天道君」
と返す桑折さん。何て事のない、『普通』の朝の挨拶だ。
あぁ、これが『普通』じゃないか。なんだって僕たちは大騒ぎしていたんだ?
皆はざわついていた自分たちが可笑しくなって、一斉に笑い出した。
それからは、当然ながら水曜日の大会も開かれる事もなく、静かな毎日が過ぎていった。いや、相変わらず天道君は騒がしいが。
最初のコメントを投稿しよう!