笑わない女の子と笑いすぎる男の子の、笑顔にまつわる物語

3/17
前へ
/17ページ
次へ
「いいぞ~!」「似てる~!」「後で先生に言いつけとくな~」  観客からはかなりの高評価!さて、桑折さんは……!?  場内の皆がバッと視線を送ると、 「すごーい! 似てた似てた!」  桑折さんは心底驚いた顔をして、パチパチと小さく拍手をしていた。  何と皮肉な話か。近藤君のものまねはクオリティが高すぎた故に、それは『笑い』ではなく『驚き』になってしまったのだ。しかしそんな可愛いリアクションの桑折さんに、近藤君のハートはバキューンと撃ち抜かれていた。もう彼に出番はないが。 「近藤君、残念! またどうぞ~。では次! 田中君!」 「うっし! やるぞ!」  次に出てきたのは柔道部の田中君。その服装は、水泳パンツ一丁だ。  きゃー!っと女子達の悲鳴。男子達からのブーイング。 「「かーえーれ! かーえーれ!」」  大合唱である。満場一致で退場させられる。「放せ! 俺はまだ何もしていないぞ!?」とか騒いでいたが、真っ赤な顔を両手で覆う桑折さんを見れば、致し方ない処置であった。 「え~と……残念でしたっ! さて次の方……うわ、何をする!」  鹿田君を女の子達が押さえ込む!鹿田君は抵抗しているように見えるが、女の子達に両手両足を押さえられているその状況、若干まんざらでもなさそうだった。     
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加