笑わない女の子と笑いすぎる男の子の、笑顔にまつわる物語

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 タイムアップを告げる鐘の音。クラス中に溜息が出る。 「残念! 今週も挑戦成功成らず! 来週こそ頑張りましょう! 桑折さん、審査委員長お疲れ様でした」 「お疲れ~!」「お疲れ様~」「お疲れ様ね~」  桑折さんは少し困ったような顔で手を振る。  これが桑折さんの日常風景である。騒がしい水曜日。『特別』扱いの水曜日。  そんな毎週のイベントを、誰よりも楽しみにしている男がいる。隣の席の天道君だ。彼の笑いの沸点は恐ろしく低い。観客席側に立って、全てのネタで大声上げて涙を流しながら笑う。それにつられて周囲の皆も笑う。なんなら、ネタよりも天道君の笑い声の方が面白い時があるくらいだ。 「あ~はっはっは! ひー! ひー! もう止めてくれー! 死ぬー! あははははは!」  笑い袋か何かのように笑う。それを聞いている方も笑ってしまう。  天道君については、別に水曜日に限った話ではない。毎日こういった調子だ。誰かがふざければケタケタ笑う。先生がつまらない冗談を言えば、ゲラゲラ笑う。日常会話すら、笑わないとまともにこなせない。 「なあなあ! 昨日のTV見たか!?」 「見た見た! すごい面白かった! あっはっは!」 「ん? お前、何の番組見たんだ?」     
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