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人気のない静かな廊下を二人でゴミ箱を持って進む。音が反響しやすく、昼間なら生徒達の声がうるさいくらいに反響している場所だが、放課後と言う事もあって異様なまでに静かだ。
隣を歩く天道君は何もないのにへらへら笑っている。不思議な人だ。
桑折さんは、何とはなしに、前々から天道君について不思議に思っていた事を少し聞いてみようと思い、ゴミ箱を置いて問いかける。
「ねえ。天道君は何でそんなにいつも笑っているの?」
桑折さんの問いかけに、不思議そうな顔で天道君は返す。
「ん? 笑うのに理由っているの?」
「笑うにしても限度があるでしょうに。天道君のは何て言うかすごい……病的に笑うじゃない?」
言ってから、しまったと思った。幾らなんでも傷つける言動じゃないのか?そんな心配を一瞬したが、
「病的! 面白い言葉を使うね! ぴったりだ! あっはっは!」
何と言う事も無かったらしい。それどころか逆にウケてしまった。廊下にでかい笑い声が反響する。
桑折さんはいよいよ、天道君の頭のねじが何本か飛んでるんじゃないかと疑い始めていた。でなければ、説明が付かない。
その気持ちが顔に出ていたのか、何かに気付いた天道君が逆に質問をぶつけてくる。
「ねえ、桑折さんはどうして笑わないの?」
桑折さんは一瞬面食らい、戸惑う。思いがけない逆質問だ。相手は天道君。マジメに取り合うべきなのか?いや、でも……
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