季節外れの夏の花

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何時間経ったか、何時間泣き続けたか 外はもう真っ暗で、雪も強風で崩れていた。 ふと担当医が開けた屋上のドアから漏れた光が、ふたりのいる場所を薄明かりで照らした いいだけ泣いて、叫んで、泣き枯らした。もう何もすることはできない、顔も見ることなんて、出来なかった 「…あれ、なんでだ…顔が…」 後ろから担当医の声が聞こえる、はっと俺は彼女の顔を見上げる 何が起こっていたのか、何が起こったのか。前を見て、口を開け、涙に歪んだまま固まったはずの彼女の幸せそうににっこりと笑う顔が、こっちを見ていた。 きっと何も言っていなかっただろうけれど なんとなく、彼女の声が 「ありがとう」という声が聞こえた気がした。 その日、その病院の庭園で、浴衣を着て幸せそうに笑う君の笑顔が…。 季節外れの花火が咲いた。
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