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個室番号は701、7階の1番手前。
運動がてら階段を使って上がる、カツン、カツン、と靴の音が静かな部屋に響き渡る。
真っ白な壁を眺めて、ひとつ上がるごとに1段、2段と数えながら、上へ上へと足を運ぶ
7階に着いてすぐに右へと曲がる、長い廊下、1度遠くを眺めて、一呼吸、トントンとドアを叩く
「どうぞ」とその声を聞いて、俺はカチャリと扉を開いた
「あらいらっしゃい、今日もお見舞い来てくれたの?」
白い服にやせ細った身体、白く、白い、真っ白な身体。不謹慎にもとても綺麗だと思ってしまうのだから、俺と言うやつはどうしようもないほどにベタ惚れしてるんだろう。
「おう、体調はどうよ」
「いつも通りだよ、元気元気!」
そう言いながらも表情は今にも苦痛に歪みそうである。けれど彼女は決して弱音は吐かない、吐けば心の底から苦しくなるからだと、前に言っていたのを覚えている。
「…身体は?」
「…腰まで来たよ、だから座らせてもらったの。寝てるよりこうして本読んでたいしさ。」
「ほら、見ていいよ」と言いながら彼女は布団をめくってくれる
足の先から腰の真ん中あたりまで、その身体は真っ赤な木になっていた。重々しいその身体は、感覚もないままもう動かせないらしい。
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