笑う仮面にご用心

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笑う仮面にご用心

 仮面が笑っている。無力な私たちをあざ笑うかの様に。  頭からすっぽりと被った黒マントに浮かび上がるのは朱色の仮面。そこには絵文字のようなシンプルな目と口が白色で描かれている。 「果たして君たちは私を捕まえられるかな?私の名前は『紅童子』。さあ、楽しい祭りのはじまりだ!」  暗闇に映し出されたその映像は私たち生徒に向けた挑戦状だった。  仮面の怪人『紅童子』の不気味な笑い声、ボイスチェンジャーを通したような男か女かもわからないその声が体育館に響き渡る。  ここに集まった全校生徒の間にざわめきと微かな興奮が広がっていくのがわかった。  プロジェクターで壁に投影された映像が消えてもなかなか照明が点かない。当然だ、これはハプニングなのだから。ステージ脇に控えていた実行委員や生徒会が慌てているのが見て取れる。  私は元凶となった映像を投影したプロジェクターの真横で呆然としていた。  いったいどうして。  意味がわからない予想外な出来事の中で、どうしたら良いのかわからないで居る私の所に一人の男子生徒が近づいてきた。同じ放送部の藤城君だ。     
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