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「皆さん落ち着いて!生徒会長の戸神です。今年はなんともびっくりなスペシャルゲストが紛れ込んだようですね。しかし折角のお祭りです。彼の挑戦もまるっと含めて今日という日を楽しもうじゃないですか!あの怪人を捕まえるも良し、応援するも良し、どう楽しむかはあなた次第。さあ、今年のテーマは『今をつかめ!』。最高の今を一緒に作りましょう!」
戸神会長の朗々としたスピーチに呼応して生徒たちのテンションが上がっていくのがわかる。既に謎の映像なんて誰も気にしていない。
「第10回北葉高校学校祭の始まりです!」
盛大な拍手のなか、私たちが経験する初めての学校祭の幕が上がる。
札幌の春は短い。五月まで雪が残っていたかと思えば、六月末にはもう夏の気配を感じる。そんな季節の変わり目から学校祭の準備は始まった。
私たち放送部は生徒会や実行委員と同じように一般生徒たちよりも早く準備を始める。北葉高校の学校行事における放送設備、音響関係の責任は私たちが担うからだ。校内の機材や設備を把握しているのは私たちだけだからだ。
今日はその学校祭に備えた初めての会議だ。放送室は校内放送設備であるミキサーやパソコンが置いてある『ミキサー室』とアナウンサーが練習したり会議のために使っている広めの『調整室』がある。どちらも防音仕様のため床は絨毯になっており、みな靴を脱いで室内に入る。目的は防音ではあるけれど気軽に座ったり寝転ぶことが出来るこの室内が私は結構気に入っていた。
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