笑う仮面にご用心

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 私たちはいつものように調整室に集まり、車座になって資料を眺めていた。一年生が五人、二年生ふたりに、三年生である日野部長の八人が現在の部員だ。日野部長のよく通る声が学校祭の運営についてテンポよく話を進めていく。 「資料にも書いたように、学祭の流れはだいたいこんな感じなんだけど何か質問はある?」  大きな瞳が私たちを見回す。ゆるくウェーブがかかった髪を耳にかける動作がとても絵になる。日野部長はたまに女子である私もドキっとしてしまうような整った顔立ちをしている。しかも部長として部をしっかりとまとめており私たち一年生にも優しい。天は二物を与えずと言うけれどあれはきっと嘘だ。二物どころか持っている人はいくつも持ち合わせている。 「二年生の榊君と八代くんはわかってると思うけど、他のみんなは初めての学祭だし不安な事はない?」 「あ、それじゃあ......」  手を挙げたのは珍しく道家君だ。普段は賑やかでお喋りな彼だが、会議など真面目な場での発言は少ない。 「えーと、この担当スケジュール表だと昼飯食べるとき以外はほとんど仕事があるんですけど、自由時間とかは?」  それはたぶん一年生全員が気になっていた事柄だ。二日間ある学祭の開会式から閉会式まで、全員のスケジュールが何かしらの当番で埋められており、自由な時間がほとんど無かった。 「無いわ」 「えっ」 「自由時間は無いわ」 「.......」     
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