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2。
太が死体になる前日の夜。
あるアパートの一室で、一組の男女が体を密着させている。部屋の明かりはついていない。
男は髪が金髪で、わずかにあごひげをたくわえていて、腰にはじゃらじゃらとシルバーのチェーン。腰まである女の赤い髪をなでている。
女のほうはデニムのパンツから脚がむき出しなのがなまめかしい。
「なあ、もう服ぬいじゃえよ。」
乱暴に男が言った。
「え、でもさあ、ここ、あんたのカノジョの家じゃん。やばくない?」
女の方は少し及び腰である。
「いいさ。どうせ、あいつはいつも帰りは遅いんだからさ。ばれねえよ。」
「あんたのカノジョってさ、刑事なんでしょ?。ここ、カノジョの家なんでしょ?やっぱやばくない?」
「かまわねえよ。そんなの知ったことか。」
女が言うのもかまわずに、男は強く女を抱き寄せた。
だが、男が女のトレーナーに手を伸ばしたとき、急にパッと部屋の明かりがついた。
男がまぶしげに部屋の入り口を見ると、一人の女が仁王立ちをしている。この部屋のあるじ、倉場なみである。
「・・・なんだよ、もう帰って来たのかよ。こんなときにかぎって早いんだな。」
憎々し気に男がつぶやいた。
「ヒロシ、ここはあたしのウチよ。ほかの女連れ込まないでよ!」
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