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なみが警察に就職したのを機に、二人は結婚を考えて一緒に暮らしはじめた。なみが住んでいたアパートにヒロシが入ったのだ。 もちろん彼が高卒であるとかそういうことは、なみにとってはどうでもよかったし、二人で持ち寄って生きていけたらいいと思っていた。 その当時のヒロシは今からは想像もつかないくらい真面目で優しく、なみも幸せしか感じていなかった。 ところが、ヒロシが勤めていた工場が倒産してから歯車が狂いはじめた。 しばらくはバイトをしていたが、そこで悪い連中と付き合い、やがて夜もあまり帰ってこなくなった。共同で賄っていた生活費も払わなくなり、しょっちゅう問題を起こすようになった。 なみのたび重なる忠告にも耳をかさなくなって、ついに暴力事件を起こして警察沙汰になってしまったばかりだったのだ。 なみは力なくソファから立ち上がると、シャワーを浴びて簡単な食事をとった。 テレビをつけてみたが、全く頭に入ってこない。あまり眠くもなかったが、明日も仕事がある。寝巻きに着替えてベッドに入った。 翌日、なみは重い気持ちで仕事へと出た。 彼女の職場である網走署はあいも変わらず一人一人があわただしく動いているが、ここ数日の彼女にはやる気を見ることはできない。 パートナーのヒロシが警察沙汰を起こしたのだから無理もないだろう。     
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