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「はああ…、無理、立ち直れない。」
「はいはい。それ何回目だよ。」
大学の学食で、僕は親友の名川智広(ながわちひろ)とだべっていた。大学に入ってもう1年。学校生活にはもうすっかり慣れてしまった。智広とは同じ学部だ。頭の良いこいつはもっと上の学校に行くと思っていたので、オリエンテーションで再会した時は本当に驚いた。それもあって、今でも当たり前のようにつるんでいる。
「それで、今日は何作ってきたんだ?」
「今日はベイクドチーズケーキ。ブルーベリー入り。」
「お前さあ、考え事を菓子作りながらすんのやめろよ。いや、美味いんだけどさ、限度ってもんがあるだろ。」
「分かってんだけどさぁ、気付くと作ってるんだよな。最近姉貴もダイエットで食ってくれなくなったし、頼むよ。」
「出されたもんは食うけどさ。お前も手伝えよ。昼飯もあるんだからな。」
「分かってるよ。」
僕は菓子作りが趣味だ。始めの頃は姉の真似事だったのだが、いつの間にか趣味になっていた。無心で作業できる菓子作りは考え事に向いている。流石に毎日は自重すべきだが。
「智広は今日何限までだっけ?」
「4限だけど。あ、でも今日バイト早いから先帰るわ。出席よろしく。」
「へいへい。今度なんか奢れよ。」
「焼肉以外な。」
そう言うと、智広はさっさと帰っていった。
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