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タキシードを着替えて被り物をつけた。どこぞのおちゃめなバンドマンがかぶっていたリアルな狼のお面。俺はその恰好で写真撮影に挑んだら、夏鈴が引いていた。
「…なによ、それ」
「遊びだから」
「赤ずきんちゃんなの?」
「そうだよ」
「王子様じゃなくて?」
「王子様は悪い魔法使いにオオカミに変えられてるんだよ」
「…ふうん」
夏鈴は黒いドレスに金色の刺繍の花が絢爛豪華に咲き誇ったドレスを着ていた。清楚な白から妖艶な黒にチェンジというわけだ。これは貸衣裳で、木庭さんの熱烈な進めもあって選んだ衣装だったりする。黒いタキシードの俺が並んでいると、指輪をはめた左手をもっと前に出せと言われ。あらゆるポージングを試されて落ち着いたのは、花嫁のウエストに手を添えるという格好だった。
コルセットでやたと絞められた細すぎるウエストに手を添える。夏鈴が少し苦しそうな呼吸をしていた…。オオカミのお面のまま彼女の首のうしろにキスをする。
このまま全部脱がせたくなったけど我慢だ。皆見ているところで裸になんかしない。俺だけの夏鈴なんだから。
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