第2章 結婚式でサプライズ

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 撮影が終わって会場に入っていくとき。俺は夏鈴にお花の籠を渡した。  大きなドアの前に立っていると、会場内にどよめきが沸き上がる。夏鈴は眉間に皺を寄せて俺を見上げてきた。赤いフードを被せて、木庭さんに夏鈴だけ先に中に連れて行ってもらう。  俺は手にはオオカミの手を装着し、尻には長い尻尾を装着した。演出のプロモーションビデオは俺のお手製髪芝居。内容はかなりアレンジしていて原作とは程遠い。  狼の森に一人で住むというおばあさんを訪ねていく赤ずきん。 「どうしておばあさんはこんな危険な場所に一人で暮らしているのかしら?」  彼女は不思議に思いながら、葡萄酒とパンを届けようとした。  会ったこともないおばあさん。  実はこの森の主、悪い魔女が何十年かに一度生贄を捧げさせていた。  今度の生贄はとってもかわいい女の子。  村に生贄を指名する文を届けた下っ端狼は彼女を一目見て恋に落ちた。  狼は旅の途中の赤ずきんをお花畑に誘って、睡眠薬入りの林檎酒を飲ませた。  そして彼女の赤いマントを借りて、自分が赤ずきんとして魔女のところにやってきた。
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