第2章 結婚式でサプライズ

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「……晴馬……、覚えててくれたんだね」  ポツリとそう言うと、夏鈴は狼のお面を外して俺の頬にキスをしてくれた。身内がみんな見ているところだから、これぐらいで当たり前なんだけど、俺は唇にして欲しかった。だから、目を覚まさずに唇をとんがらせてみせる。 「やだ…。みんな見てるよ…」 「………」 「晴馬の……バカ……」  俺の気持ちを察してくれた夏鈴は、恥じらいながらキスしてくれた。  可愛い夏鈴のキスで目覚めた俺は、へったくそな芝居で起き上がり台から降りて、夏鈴の前で片膝を立ててひざまづいた。狼のお面を脇に抱えて。 「嗚呼!美しい娘よ!!」 「!!」  夏鈴が驚いて真っ赤になった。 「あなたはこの私の百年に渡る呪いから解き放ってくれた素晴らしい恩人だ! どうかこの私と永久(とこしえ)に寄り添い、この愛を受け止めて下さい!」  夏鈴の手袋を外して素手の甲にキスをすると、夏鈴ま益々赤くなった。 「今日から私はあなたの愛の奴隷です!!」 「もういいから!!」 夏鈴は逆切れしはじめた。
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