第2章 結婚式でサプライズ

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 皆、笑い出した。会場が少ない身内の笑い声で満たされていく。俺達の妄想劇場に付き合ってくれて、拍手をしてくれて、口笛まで吹いてくれて、本当に嬉しい。  通常ならば新郎新婦のプロフィールだとかなれそめだとかを紹介するところだったけど、皆ある程度のことは知っている面子しかいない。この際だから、持ち時間を使って永遠に忘れられないような演出をした方が良い思い出になる。  美鈴さんが大きなリボンがついた本を持ってきてくれた。世界にひとつしかない俺特性の絵本を夏鈴にプレゼント。夏鈴はまたもや驚いて、半べそになりながらその本のページを捲った。 「すっごい……! うれしい……、こんなことしてくれるなんて……!」  長いまつ毛にキラキラと雫がくっついて輝いていた。 「愛してるよ……」と囁くと、また顔を赤らめながら泣き顔になる夏鈴。  この反応、想像以上だ。真面目に頑張ってよかった……。  それから、皆好きなことをしてもらった。歌いたい人は歌い、踊りたい人は踊り、食べたい人は食べ、飲みたい人は飲む。  温泉スパも完備したこのリゾートホテルで一泊二日のんびり滞在を楽しんでもらい、引き出物はこのリゾートの宿泊券にした。愛する人と非日常の中で、更なる愛を見つけて欲しいという夏鈴の希望で。  休暇を上手に楽しめない美鈴さんや姉貴は超悦んでいた。彼女達には高級エステも追加プレゼントしていたから、二人して旦那そっちのけで楽しんでいたらしい。じいさんは展望台に上って朝日と雲海を見られたと大興奮だった。体力がある人達はウインタースポーツを楽しみ温泉で癒されてくれた。  結婚式とウエディングパーティーが無事に終わってから、白いレースのワンピースに着替えた夏鈴と特別室で過ごしていた。
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