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「ね。あのナレーションなんだけど、誰の声?」
夏鈴は紅茶を飲みながら聞いてきた。白いイヤリングが可愛い。いつもと全然違うオシャレな夏鈴は絵になっている。
「誰の声でしょう……か?」
隣に座っている俺は白いスーツを着ていた。夏鈴の服に合わせてオシャレなコーディネイトを提案してくれるここのブライダルプランナーは最高だ。夏鈴は普段と違う俺を見て、目付きが違う。熱い視線で俺を煽ってくる。
「もしかして?」
「もしかして?」
夏鈴は俺を指さした。思わず、その可愛い指をパクリと咥えて舌で舐めてしまう。
「あ……やだ……」と、ちょっと興奮気味の夏鈴と目が合う。
「晴馬の声に、似てる気がして…」
「俺の声……好きか?」
思わず聞いてみると、夏鈴はポッと頬を赤らめてから「うん」と上擦った声で答えた。
「そうだったんだ。そっか…じゃ、俺に言われたいセリフとかある?」
いつもと違う切り口を発見した俺は、夏鈴の隠れた願望を引き摺り出そうとたくらんだ。チュパっと彼女の指を吸い上げてから話すと、夏鈴のオレンジ色の唇が少し開いて先端が俺を呼んでいた。キスがしたいっていう顔をしている。
なんてエロイんだろう?
俺を求めて無防備な女の顔をする夏鈴をいつまでも眺めていたい。
同時に、すぐにでも彼女の欲望を満たしてやりたい。
そんな二つの感情が俺の心の中でせめぎ合っていた。
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