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体再生法 3話
3.
目を覚ますと、見覚えのある天井だった。
見覚えがあっても、見慣れているほどではない。ここは一度しか来たことのない市役所の警備員宿直室だった。
「ここは……うう、頭が痛い」
悪い夢を見て飛び起きたように気分が悪い。なにかとても嫌なことがあった気がするのだが、痛みで頭がうまく回らない。
しかし、一つわかること。ここに来たと言うことは、またしても死んでしまったということだ。
死因は一体なんだ?
「おや? もう起きたんですか?」
田中花子と同じ服を着た女がいた。やはりここは市役所の一室で、俺は一度死んで生き返った直後の様だ。
「どうも。私、山田花子って言います」
「偽名だ」
「失礼な。本名ですよ。ほら」
山田花子は写真と国民番号の載った身分証明書を提示してきた。確かに、山田花子と書いてあった。
デジャブだ。
「ところで、親戚に田中花子っていないか?」
「は? いませんけど。なんでいると思ったんですか? 名字だって全然違うのに」
言われてみればその通り。顔もまったく似ていないだが、今のやり取りでなんとなく関連付けてしまった。
「それで、俺はまた死んで蘇ったんだな?」
「はい。お察しのとおり」
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