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リア充バトルロイヤル プロローグ
プロローグ
1.
その声はヘッドホンで音楽を聴くときのように、頭蓋骨のなかに直接響いた。
『皆さんは今まで人生を楽しむ側だったので、これからは楽しませる側に回ってもらいます』
特徴のない声だった。子供なのか、大人なのか。男なのか、女なのかもはっきりとしない。どのような人物が発しているのかまったく想像できない。
部屋の中には男も女も七人ずついる。ほとんどが大学生か二十代後半ほどに見えるが、男女一組だけ三十半ばに見える。
しかし、誰も声を発していないようだった。誰もが狐につままれたような顔をして周囲をキョロキョロと見渡している。音源を探しているのだが、声の主どころかスピーカーすら見当たらない。
そもそもこの部屋にはほとんどものがなかった。ものどころか壁紙すらない。壁も、床も、天井もコンクリートが剥き出しになっている。照明は裸電球で一欠片のデザイン性もない。家具はでかいテーブルとそれを囲うように置かれた四つのソファだ。ソファは電車の座席ほどの長さで大人数でテーブルを囲える。つまり一四人で座れるように置かれたのだろう。
「おい。なんなんだよ。お前は」
金髪の男が叫んだ。アクセサリーをじゃらじゃら付けた外見からして一番目立つ男だが、中身のほうも目立つ男のようだ。
『皆さんにはゲームに参加してもらいます』
その声は金髪の男の声を無視して話し続けた。
『わかりやすく言うとデスゲームです』
誰もが近くに立っていた人と顔を見合わせた。それぞれ男女で向き合っている。七人の男女は、同時に七組のカップルでもあった。
『ルール1 最後まで生き残った二人だけがここから出ることができる』
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