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サイアクな転校
後から思い返したみたら、だ。
「あー‥‥紹介するぞ? 今日から君達と一緒に勉強する『阿部清くん』だ」
少なくともボクにとって『普通』と言える状況は、この時までだったと思う。
何しろ次の瞬間、丸顔の担任が発した言葉は、
「言っておくが、彼は『人間』だから。そのように心得といてくれ給え」
‥‥だったのだ。
えっ‥‥?
今、何て?
ボクの動揺を他所に、クラス中が一斉にどよめく。
「えぇぇぇぇ!マジかよ!アイツ『人間』だってよ!」
「おいおい、オレ『本物の人間』って初めて見たよ!スゲー!!」
「えースゴーイ、人間ってマジィ?!あんなの『都会の生き物』じゃーん!」
これ‥‥どゆこと?
もしかして、先生の悪ノリに生徒が『乗った』のか思ったが‥‥
どうにもこうにも、このリアクションは『本気』らしい。
「え‥‥あの‥‥ど、どういう事なんでしょうか? 『ボクだけ人間』っていうのは‥‥」
血の気が引く思いで、担任の顔色を伺う。
「うん? いやぁ『どういう』って言われても‥‥『そのままの意味』だが? 少なくとも私はそう聞いているけど‥‥もしかして『違う』のかい? 君も人間じゃないとか」
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