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あっ‥‥! なるほど、考えたな。確かに彼の身体は『布』みたいなものだから飛球を捉えるのには有利かも知れない。ある意味、適材適所というか。
しかし、一反木綿は尚も不満そうだ。
「あのさぁ‥‥僕にだって『痛覚』はあるんだよ!君ら、試しに『腹で飛球を止める』とかしてご覧よ!痛いなんてモンじゃなんだから!」
そ、そうか‥‥『痛い』か‥‥何か、リアルだな‥‥
「ちっ‥‥ダメかよ、仕方ねーな。よぉ『百目』っ!サッカーやらね?」
油すまし君が、別の男子に超えを掛けた。
百‥‥目? うーん、この妖怪も、どう見たって『二つ目』だけどな。
「油すましぃ‥‥テメー、分かってて言ってるだろ? こんな風のある日に校庭なんざ出た日にゃぁ、砂けむりが眼に入って溜まったモンじゃねーんだよ! お前らは『ふたつ』だけ気にしてりゃぁいいだろうけど、こちとら『100個』気にしなきゃならねぇんだぜ?」
あ、そうか。『全身が眼』ってそういうデメリットもあるのか。
「いーじゃんか。どーせ、普段は『98個はツブってる』んだろ?」
ニヤニヤと、油すまし君は笑っているが。
「あのな、それだと『前しか見えない』じゃねーか。授業くらいならともかく、何処からボールが来るか分からない状況で、そんなのコワくて敵わねーんだよ!」
そういう事か‥‥
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