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自分達は最初から『二つ目』で、前しか見えないのが当然だと思っているけど‥‥『周囲ぐるりが見えて当然』の世界に居る妖怪にしてみれば、『前しか見えない』というのは恐怖になるのかも。
すると今度は、横から別の生徒が油すまし君に声をかけてきた。
「だ、だったらさぁ!オイが相手になるんで、キャッチボール‥‥」
ところが、今度は油すまし君がロコツに嫌な顔をする。
「オメーはダメだろ! オメーと一緒に居ると『雨が降ってくる』んだよ! この雨男が!」
あー‥‥居るよな、確かに。そういうイベントになると『必ず雨を呼ぶ』っていう縁起の悪い『雨男』が。けど、この場合は‥‥?
「あ、雨男って‥‥」
言われた側は不服そうだ。
「オ、オイは『雨男』じゃなくって『小雨坊』っていう立派な名前が‥‥」
『本物の雨男』だよぉぉぉ!
究極の『雨を呼ぶ男』じゃねぇかよ! そりゃ、イヤがられるワケだよ。
やれやれ‥‥どうにも『遊ぶ』っていうのも簡単じゃないよな‥‥
ボクは、小さく溜息をついた。
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