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「うわっ‥‥!こ、これはっ!」
顔面に思いっきり、何かが掛かった。
「お、おいっ!大丈夫かっ!」
慌てて、一つ目がボクの顔を払ってくれる。
「ダメじゃーん!砂かけ婆さぁ‥‥」
そうか‥‥ボクの顔に掛かったのは『砂』か。流石は『砂かけ』というだけの事はあるな‥‥
というか。よくよく考えてみたら、それでも一応は『妖怪らしい力』ってのを、初めて体感したとも言える。
ある意味、貴重というか‥‥。
「だ、大丈夫ですか‥‥あの‥‥動転してしまって‥‥」
砂かけ婆ぁ(子ども)がオロオロしている。
「あ、だ、大丈夫だから! はは‥‥けど、凄いね! その砂ってさ、何処から出て来るの? やっばり『妖力』か何かで?」
ボクは眼に入った砂の痛さよりも、その好奇心に勝てなかった。
すると、
「ううん、そうじゃなくて‥‥家を出る時に『予めポケットに入れておく』の!」
待てぇぇぇっ!
何だよ、それ! そんなの別に妖怪じゃなくたって、誰にだって出来るだろ! もはや、ケンカ慣れしたタダの不良じゃないか!
‥‥しまった『カワイイ』なんて言って損した気分だよ、まったく。
それにしても、今日はまた一段と暑い気がする。
「暑いな‥‥」
一反木綿も文句を言ってる。‥‥カバンに隠れてるクセに。
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