妖怪としてのアイデンティティって何?

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妖怪としてのアイデンティティって何?

曲がりなりにも此処は『中学』なんだから、当たり前って言えば当たり前かも知れないが。 とにかく、一応それでも、授業そのものは『まとも』だったと思う。 どうなんだろうか? 彼らが『妖怪』だったとして『普通の授業』って意味があるんだろうか? 高校受験とかあるのか? うーん‥‥分からん。 いやまぁ、周りが『アレ』過ぎて実のところ『何も頭に入ってこない』というのがホンネではあるけれど‥‥ 1時間目の授業が終わって、担任が職員室へと戻っていった。 その途端に。 「おぉぉい!『人間』‥‥じゃなくって、『阿部』だったっけ? お前、『キヨシ』って呼んでいいか?」 「ねーねー、それじゃぁ慣れ慣れしすぎじゃなぁい?フツーに『阿部君』でよくねー?」 「あのさぁ、あのさぁ!何処から来たの?!やっぱり都会から? くそー、行きてーなぁー‥‥都会によ!」 ボクの周りに『人だかり』いや『妖怪だかり』?が出来た。 人間でも、これだけの数に囲まれると『圧』が凄いと思うけど、更に相手は『妖怪』ときたもんだ。 もう、何ていうか‥‥泣きそう。 言葉に詰まるボクを察してくれたのか、ひとりの生徒が皆を押し留めてくれた。     
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