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「…月海、お前はさ」
「?」
暁斗は海を見つめる。小さく波打つ音は少しだけ大きくなる。
「人魚って信じるか?」
「え? それは…」
暁斗の意外な質問にハンスは返事に悩む。
自分達シーマンは地上の人間達に人魚と呼ばれたことは大人のシーマン達に何度も聞かされた。地上の人間達は自分達の下半身は魚の尻尾のようだと思っているのもだ。
「…いるんじゃないかな?」
暁斗が思い描く人魚がよくわからないがなんとなく自分達シーマンのことだと思った。
「暁斗はどうなの?」
「…さぁな」
暁斗は海に背を向ける。
「――――ハンス! ハンス!!」
「「!?」」
聞き覚えのある声が二人の耳に入る。
声がするほうに視線を向ける。
「探しましたよ!! 何やってるんですか!!」
火川フレアがいた。
「…やっぱりここか。あきないのか」
白鳥パートもいる。
「フレアとパートだ…」
ハンスは二人から視線をそらす。
「じゃあな、俺は知らねえ」
「あっ! ちょっと…」
暁斗は嵐から逃げるように走ってどこかに行ってしまった。
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