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私の後ろの席からは、いつも一緒にお昼を食べてくれる女の子達の、楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
ーー良かった。誰も私がおでこを出してきたことなんて、気にしてないみたい。
ほっと胸を撫で下ろして、私は自分の席に座った。
「おはよー」
その中の女の子の1人が、後ろから声をかけてくれた。
「お、おはよう」
おでこの事を何か言われるかも、とドキドキしながら振り返ると、彼女はおでこ全開の私を見て、わあっ、と声をあげた。
「なになに?イメチェン?」
「わあ、ほんとだー。おでこ出してるの、はじめて見た」
他の女の子達も、私の席のまわりに集まってくる。
「可愛いっ。似合ってるよ」
「あ、ありがとう」
「ねえ、これどうやってやるの?」
「え、えっとね」
がさごそとカバンの中から雑誌を取り出して、広げてみせる。
「この雑誌の真似してやったの。ここねじって、それから……」
「この雑誌、可愛いアレンジがいっぱい載ってるね。あ、こういうヘアアクセ、欲しいかも」
「ね、ね、今日学校の帰りに、みんなで一緒に買いに行かない?」
「う、うん。行きたい」
こんな風に自分が話題の中心になって、友達とワイワイ話しているなんて、うそみたいだ。
おでこを出しただけで、こんなにみんなと仲良くなることができるなんて。
もしかしたら、田崎くんが言ってた「いい事があるおまじない」って、本当かも。
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