ラブレター

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 「今すぐ返事をくれなんて言わないから、考えてみてくれないかな。それじゃ、また明日」  西園くんは少し困ったようにそう言うと、駅に向かって歩き出した。いつの間にか、もう駅のすぐそばまで来ていたのだ。遠ざかっていく西園くんの背中を見て、フリーズした私の思考は徐々にとけていき、私は彼に確認しなければならないことを思い出す。私は急いで西園くんの背中を追いかけた。  「西園くん!あの、以前私に手紙をくれたことないかな!?」  私は改札を通る西園くんを呼び止めた。しかし、西園くんは改札の向こう側で小さく首をかしげるだけだった。
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