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「あいつさ、西園、いいやつだからさ」
小さな声でそう言った岡田くんは机の上を見つめていた。
そう、私は知っていた。西園くんは岡田くんの友達だということを。そして、岡田くんが今日一日、一度も私と目を合わせていないということを。
「花梨お疲れ~!少し早いけどもう交代していいよ~」
午後の受付当番の結唯ちゃんと古谷くんが来てくれたことで、私は岡田くんの言葉に返事をすることなくその場を離れることができた。
岡田くんの口から西園くんの名前を聞いた時、ひどく心臓が冷たくなった。この時私は自覚したのだ。私は二度、岡田くんに対して失恋しているのだと。
その日から私は、岡田くんを目で追いかけることをやめた。
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