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「……っ!? メル……浮かんだ……新しいレシピが……浮かんだ……」
スライスされた肉料理を頬張っていた私に、突然何かを思いついたグリンは中空を視点の合っていない瞳で見つめながらそう呟きました!
「……っ! 本当っ!?」
彼の閃きは、ある日突然齎されます!
私は即座にメモを用意して書き留める準備をしました。
その拍子にテーブルの上に置いてあったパンを乗せた皿が床に落ちたけど、今はその事を気に掛けている場合じゃないんです!
―――彼には、彼と私しか知らない秘密があるのです……。
「……ああ……これは……。グラハムの葉に、エンジュタケ……ニランジュの実に……これは? なんだろう? 針ヤマネコの……銀髭……? メル、こんなの聞いた事あるかい?」
私はグリンの呟いた食材を、洩らす事無く紙へと書き記しました。
でも他の食材は兎も角、最後の材料だけは私も聞いた事がありませんでした。
「……ううん、初めて聞く材料ね……。でも『針ヤマネコ』って言えば、やっぱりあの針ヤマネコよね?」
針ヤマネコと言えば、この世界で2番目に出現した……つまり“レベル2”のラビリンスに出現する、体毛がまるで針のように鋭いオオヤマネコの様な怪物だったはず。
肉食獣らしい俊敏な動きと爪や牙による攻撃は脅威だけど、その存在が確認されて多くの冒険者が討伐済みの怪物であり、それ程脅威とはならなかった筈です。
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