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ここは、世界で二番目に地上へと出現したラビリンス。通称「レベル2 ラビリンス」、その中層階です。
地下迷宮……と言うだけあって、その構造は地下へと続く迷路状の洞窟と言ったイメージです。
僅か50年前に出現したと言うのに、その中には苔やら得体の知れない蔦やらが壁にはこびり付いていて、おどろおどろしい雰囲気を醸し出していました。
そんな迷宮に「針ヤマネコの銀髭」を求めて、全4階層からなるこのラビリンスの地下3階に私達はいました。
「ふー……終了っと。……でも出なかったね……銀髭」
息絶えた針ヤマネコを見下ろして、私はそうグリンに話し掛けました。
やや後方に構えていたグリンも私の元へと合流して、今は倒した針ヤマネコから食材になる部位を切り分けています。
新しいレシピが目的であっても、料理人として彼の矜持が食材となる獣をそのままにしておく事を許さないんでしょうね。
その他にも爪や牙、時には毛皮なんかも大事な収入源になるのです。
「うーん……結構倒したのに出ないってのは……他に考えられるとすれば……」
「……だね……」
グリンが全部言い終わらなくても、私には彼が何を言おうとしているのか察しがつきました。
結構な数の針ヤマネコを倒しても目的の「銀髭」が出ないという事は、この怪物を何匹倒しても出ないという事。それはつまり……。
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