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「……はぁー……美味しかったー……苦労した甲斐があったねー……」
テーブルの上に並んでいた物を殆ど平らげて、私は満足の中で一息つきました。
それこそ、涙が出る程美味しい料理なんて生きてる内に何回巡り合うのか分かりませんが、今日の料理はその内の一回である事に間違いはないのです。
「ふふふ、お粗末様」
食後のコーヒーを用意して来たグリンは、私の前にカップを置きながらそう言いました。
「ありがとう」
そうお礼を言って、私はコーヒーに口を付けました。
グリンは料理の腕も勿論、コーヒーやドリンクと言った飲み物まで作るのが上手なのです。
最高の料理の後に最高の一息をついて、完全に落ち着いた私を見計らったグリンは、テーブルの上に何かが入った瓶をコトリと置きました。
「……あれ? それって……? もう出来てたの?」
一目見る限りでは、真っ黒な得体の知れない液体の入った小瓶。
でもそれが、今このタイミングで彼から出されると言う事は、聞くまでも無く彼が閃いた新しいレシピの料理……飲み物なのは間違いありません。
「……うん……お願い……出来るかい……?」
本当に、凄く申し訳なさそうにグリンがそう言いました。
ここで彼の言う「お願い」と言うのは、説明を受けるまでも無く毒味……つまり実験台になると言う事。
でもそれは、今回が初めての事と言う訳ではありませんでした。
「……グリンはもうこれ……飲んだ?」
でも今までは固形の食べ物が殆どでした。
今回の様に毒々しい飲み物となると、流石にちょっと引いちゃいます。
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