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「……どうする? 王都に言って事情を話して、誰か魔導士にお願いしてみる?」
どんな効果が発揮されるのかは、対象のキャリアーでなければ分かりません。
王都なら多くのタレンドキャリアーが住んでるし、それこそ王城に行って近衛騎士軍に所属している魔導士の力を借りれば、すぐにでも事は済む筈です。でも……。
「……うーん……それは最後の手段なんだよねー……」
考え込んでいるグリンが、宙に視線を遣りながら私の問いにそう答えました。
この飲み物……薬がどんな効力を発揮するか分かりません。
もしかすれば、服用した魔導士の体に大きな負担となるかもしれませんし、ひょっとすれば恐ろしいまでの効果を発揮するかもしれないのです。
どちらにしても、決して良い結果とは言えないでしょう。
魔導士に負担を課す様な効果は勿論、強すぎる力は周囲にも良い影響がある筈等無いのです。
グリンはそれをこそ危惧しているのでした。
「……じゃあ、誰かフリーの魔導士を探さないとだねー……」
そうは言ってみても、そんな簡単に魔導士が見つかれば苦労はしません。
「……そうだねー……誰か心当たりのある人。居ないかなー……」
そう言うグリンにも、何か考えがあっての言葉じゃなかったみたいです。
さっきも言った様に、この世界の魔導士系タレンドキャリアーなんてみんな軍に入っちゃってるか、後は偏屈に何処かへ引き籠ってるかしか……。
「……あ……心当たり……あった……」
そんな考えを巡らせていた私の頭に、一つの“伝説”が浮かび上がったのです。
「えっ!? 本当にっ!? 誰っ? 何処に住んでるのっ!?」
私の言葉に、グリンは思いっきり食いついてきました。
でも口に出した私が言うのも何ですが、何処の誰かだなんて私にも分からなかったのです。何故なら……。
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