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「それでも良いよ! 兎に角探しに行こう!」
グリンはそう言うと、勢いよくテーブルから立ち上がりました。
そしてそのまま、カウンターの奥にある厨房へと入っていったのです。
厨房に入ったグリンの目の前には、ラビリンスで手に入れて来た食材がずらりと並べられています。
彼が調理をする場所のみ今は明かりが灯されており、それはまるで食材がスポットライトを受けて居るかの様でした。
「さて……と……。早速明日持って行く分を作っちゃわないとね」
彼はそう言って、目の前にある食材の一つを手に取りました。
―――その途端……。
彼の“左二の腕”が光出しました。
それはタレンドの発動を意味していて、別段珍しい事ではありません。
それと同時に彼の“右二の腕”も輝きだしました。
そしてそれこそが、彼と私だけの「二つの秘密」の内、一つが発動した瞬間なのです。
彼は、この大陸で初めての……もしくは非常に稀とも言うべき「二つのタレンドを所持する者」なのです。
彼が思いつく、不思議な効力を持つ食事の数々……そのレシピは、何の脈略も無く思いつく訳では無く、ましてや天啓が与えられた結果ではありません。
グリンだけが持つ二つ目のタレンドが、彼に今までにはない全く新しいレシピを思いつかせているのでした。
彼が特殊な効力を持つレシピの調理をする時、グリンの両二の腕は光だし、それはまるで神の腕を持つ者が料理をしているかのようにも映ります。
そんな姿を他の誰かに知られでもすれば、彼は忽ち王都へと連れ去られ、研究と言う名目で監禁される事は疑いないでしょう。
だからこれは私達だけの秘密……。
今はまだ、決して知られてはいけない二人の秘事なのでした。
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