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「お待たせしましたデースっ!」
暫くすると、良い匂いをさせた豚肉料理の盛られた皿を持って、ウェイトレスの女性が戻ってきました。
テーブルに置かれたその料理を見れば脂の乗りは一目瞭然ですし、香草が染み込んだ香りも申し分ありません!
彼女は次いで、並々と注がれたエールジョッキを2つとサラダが山盛りのボールも持ってきました。
「ご注文は以上デスねー。それではごゆっくり……」
「ちょっと待って」
深々と頭を下げて奥へ下がろうとした彼女を私は呼び止めました。
誰でも良かったのですが、丁度良いタイミングなので彼女に聞いておこうと思った事があったのです。
勿論、料理談議に華を咲かすつもりじゃありません。
言葉を遮られて顔を上げ小首を傾げた彼女は、疑問をその顔にありありと浮かべていました。
「あの森に棲んでるって言う魔女の事で、何か知らないかしら?」
ちょっと大雑把な質問だけど、この街で「あの森」と言えばイチイチ説明なんて必要ありません。
それに魔女の事を聞いているんだから尚更です。
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