109人が本棚に入れています
本棚に追加
―――そして数時間後……。
街道から森に向かって逸れる道を進むと、すぐに森の入り口へと辿り着きました。
道は整理されているというより、長年踏み均されて出来た猟師道に見えます。
「ここから森に入った方が安全よね?」
道無き道を突き進むよりも、こちらの方が安全に早く進む事が出来ます。
でも、現地の人達が使ってるルートを通っても、到底魔女に会えるとは思えません。
勿論魔女がいれば……の話なんだけどね。
「……うーん……兎に角森に入ろう」
グリンの言う事ももっともです。
何はともあれ森に入らなければ始まらないのですから。
「そうね……行きましょうか」
私もその案に賛同して、そのまま先頭を切って森の中へと足を踏み入れました。
森の中は薄暗い……と言っても、今日は良い天気で木漏れ日が程よく森の中を照らして、散策には申し分ないと言った状況です。
グリンはキョロキョロと周辺を見回して、目聡く野草やキノコなんかを見つけては採取しています。
ほんと……本来の目的を覚えてるのかしら?
森には怪物とまでは行かなくとも、それなりに凶暴な猛獣が出たりする事があります。
例えば熊とか、狼なんかも遭遇すれば厄介です。
だけどこの猟師道は、野生動物も人間が歩く道だと理解しているのか、そう言った不意の遭遇はありませんでした。
本当に長閑な森の道を、二人して散策している気分になってきます。
最初のコメントを投稿しよう!