お伽噺の森の魔女

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 ―――そして数時間後……。  街道から森に向かって逸れる道を進むと、すぐに森の入り口へと辿り着きました。  道は整理されているというより、長年踏み均されて出来た猟師道に見えます。 「ここから森に入った方が安全よね?」  道無き道を突き進むよりも、こちらの方が安全に早く進む事が出来ます。  でも、現地の人達が使ってるルートを通っても、到底魔女に会えるとは思えません。  勿論魔女がいれば……の話なんだけどね。 「……うーん……兎に角森に入ろう」  グリンの言う事ももっともです。  何はともあれ森に入らなければ始まらないのですから。 「そうね……行きましょうか」  私もその案に賛同して、そのまま先頭を切って森の中へと足を踏み入れました。  森の中は薄暗い……と言っても、今日は良い天気で木漏れ日が程よく森の中を照らして、散策には申し分ないと言った状況です。  グリンはキョロキョロと周辺を見回して、目聡く野草やキノコなんかを見つけては採取しています。  ほんと……本来の目的を覚えてるのかしら?  森には怪物とまでは行かなくとも、それなりに凶暴な猛獣が出たりする事があります。  例えば熊とか、狼なんかも遭遇すれば厄介です。  だけどこの猟師道は、野生動物も人間が歩く道だと理解しているのか、そう言った不意の遭遇はありませんでした。  本当に長閑(のどか)な森の道を、二人して散策している気分になってきます。
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