お伽噺の森の魔女

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 数時間、森の中心部を目指して猟師道を歩いたけど、特に不可思議な物や場所も無く、私達は猟師道の終着点である少し開けた場所へと辿り着きました。  ここは、森で一晩過ごす猟師達がキャンプを張る場所として使っている場所です。  気付けば日も大きく傾き、如何に人が分け入っている森だとしても、歩き回るには適さない時間となってきました。  夜の森と言うのは、想像以上に危険な場所でもあるのです。 「……グリン、どうするの?」  勿論、道さえ外れなければ街道に戻る事も可能な筈です。  私は彼に判断を委ねました。 「……そうだね……折角だしここで一晩過ごして、明日もう少し森を散策してみよう」  彼はここでの野宿を提案してきました。  でもそれは私にとって想定内であり、彼と行動を共にすれば決して少なくない事でもあるのです。 「それじゃあ何か狩って来るわ。グリンは食事の準備をお願いね」  ここで狩れそうな動物と言えばウサギか野鳥かしら?   それも私にとっては既に慣れた事で、彼にそれだけをお願いすると、持って来ていた弓の弦を確認して猟師道を逆に辿って行きました。
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