シャルルマンテ=ウェネーフィカ

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シャルルマンテ=ウェネーフィカ

 捕まえたのは、メッソの街で特産品として知られているこの森特有の山鳥。  偶然だったけれどその鳥を捕まえた事で、グリンは「山鳥の木の実詰め香草蒸し焼き」を作りました。  彼は昨晩、この時期の山鳥は旨味が落ちてる、なんて言ってたけど……。  ―――すーっごく、美味しかったっ!  山鳥のお腹に詰め込まれた木の実が、鶏肉の旨味を引き出し更に仄かな甘みまで纏わせています。  蒸し焼きにした事でその旨味を木の実が吸って、お肉にも木の実にもそれぞれの味が染み渡り、何とも言えないハーモニーを奏でているのです!   それに(いろどり)を加えているのが香草の存在!   食欲をそそる風味と、後を引く美味しさを演出する隠し味になっているのです!   これで旨味が落ちているなんて、私には到底思えませんでした!  野宿では考えられない程豪華で満足のいく食事を私達は堪能しました。 「はぁー……美味しかったー……」 「ははは、お粗末様。中々上手く出来よ」 「ふ……ふんっ。ほんっと、粗末な料理でしたけれど、ギリギリ合格点だったとだけ言っておきますわ」  見るからに魔女と言う出立をした少女が木陰から出現したその45分後、私達はたき火を囲んでグリンの料理に舌鼓を打ち、今はこうして食後の一時を過ごしています。  シャルルマンテはこんな言い方をしてるけど、さっきまでは一心不乱に食べ散らかしてたから、きっと今まで食べた事が無い位美味しかったんでしょうねー……実際私もそう感じたんだけれど。
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