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美月のことを思い出しながらゆっくり散歩していると、白い子猫が僕の足元に来て、僕の顔を見上げてじっと見つめていた。
僕は、しゃがんでその猫の頭を撫でると、猫は僕の目をじっと見つめ返してきた。
その猫は、青くきれいで透き通った瞳をしていた。
猫は僕に向かって何か言いたいのか、
「ミャー」
と鳴いた。
その猫の鳴き声は美月から、
「大ちゃん」
と呼ばれているように僕は感じた。
少しすると、猫の頭を撫でている僕の手の甲に、雪が舞い降りてきた。
上を見上げると、雪がちらほらと舞い始めていた。
僕は、今日美月と一緒にここでイルミネーションを見る約束を交わしていて、その約束が果たせなかったことを寂しく感じていた。
すると、また猫が僕の気持ちを悟ったのか、
「ミャー」
と鳴いた。
僕の気持ちに答えてくれるこの猫は、きっと美月ではないかと思い始めていた。
僕は猫に向かって、
「美月、本当にありがとう!」
とお礼を言った。
すると猫は、僕の寂しい気持ちを察したのか、僕に手を差し伸べてきた。
猫の手を取ると、僕は美月と手を繋いだような温もりを感じた。
とても不思議な感覚だった。
僕は幸せな気持ちになっていた。
雪は、僕と美月を包み込むように、静かにしんしんと降り続けた。
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