青い瞳の彼女

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僕は高校2年生で、市内の高校にバスで通学している。 僕の自宅からバス停までの間には小さな神社があって、小学生の頃は、この神社でよく遊んだ記憶がある。 ゴールデンウィークが終わった5月のある日、高校からの帰りに神社を通りかかった時、なぜかこの時の僕は少し懐かしい思いがして神社の中に足を踏み入れた。 高校生になった僕にとっては神社が小さく感じたが、僕は懐かしい思いを抱きながら神社の境内を歩き回った。 小学生の頃、友達とよくかくれんぼをして遊んだ神社の軒下で、猫の小さな鳴き声が聞こえることに気が付いた。 その猫の鳴き声は、か細く弱々しく感じた。 鳴き声がする方向に近づいていくと、本堂外の縁の下に段ボール箱のようなものがあることに気が付いた。 猫の鳴き声は、その段ボール箱の中から聞こえてくるようで、僕がそっと段ボール箱の中を覗いてみると白い子猫が鳴いていた。 僕は、この猫は捨てられたのだろうと思いながら、カバンの中からペットボトルの水を取り出して自分の左の手のひらに水をくんで猫の口元に差し出すと、猫はペロペロと舌を出して水を飲み始めた。 きっとお腹が空いているだろうと思った僕は、お昼の弁当の食べ残しのご飯を自分の左の手のひらにのせて猫の口元に差し出すと、猫はおいしそうにご飯を食べた。 かわいそうだと思った僕は、この猫を自宅に連れて帰ろうかと思ったけれど、きっと両親が許してくれないだろうと思い、今日はこのまま猫を置いて帰ることにした。 翌日も猫の事が気になった僕は、高校からの帰りに神社に立ち寄った。 するとそこには、昨日の子猫がいて、僕は昨日と同じようにペットボトルの水とお昼の弁当の食べ残しのご飯を分け与えた。 食べ終わると猫は僕に何か言いたいのか、僕の顔を見つめて、 「ミャー」 と鳴いた。 その猫は、青くきれいで透き通った瞳をしていた。
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