koi ≫ 故意?

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「りん。おまえ(いく)()だっけ?」 「()()ですか? 23ですけど……」 「ふうん」  どこか(もの)()いたげな表情を()かべつつ、姫川(ひめかわ)さんが(うわ)()(づか)いでじっとオレを(あお)ぎ見た。 「あの、なにか……?」 「(わか)いっていいな」 「……はい?」 「(やす)いっていうか、おっさんの背中でも欲情できて」  はっとして下を()くと、姫川(ひめかわ)さんの目の高さ、その正面にわずかな山ができている。 「――うわぁっ。す、すみませんっ……てか、そういうのじゃないですからっ!」  オレは両手で股間を(かく)し、じりじりとあとずさった。 「あーすっきりした。お礼にそれ、ヌいてやろうか?」 「結構ですっっ!!」  あははーと聞こえる笑い声を背に、オレは大急ぎでトイレへと()けこんだ。 「うー完全に(あそ)ばれてる……つか、オレ生きてて良かった……」  なにはともあれ命あっての性欲(せいよく)だ。今回は()(げん)()く、(わか)さゆえ、で(ゆる)してくれたというものの、姫川(ひめかわ)さんを相手に欲情するなど、そんな(おそ)ろしい危険を(おか)している場合ではない。 「姫川(ひめかわ)さん男だしなぁ……」  ……って、オイ。  だから(ちが)うだろ。残念がってどうする……。 「……はぁ。とりあえず家に帰ったらAVでも見てヌいておくか……」  ()(かく)はないが、もしかすると今、自分はものすごい欲求不満なのかもしれない。  わずかに(もた)げた下半身をなだめつつ、なにより優先してそう決心するオレであった。
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