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悪の名のもとに編
我輩は悪の帝王である。
戦いは終わった。
我輩は、今、ニオーゾー改めダイブツーの肩に乗り、戦いで負傷(腰痛発症)した宿敵2人を家まで届けてやる途中にいる。
最終兵器をぶっ放した後で、
「ありがとうな、兄ちゃん。助かったよ。御礼にもならんが、コレ食いな」
と、レッドが我輩に飴なんてモノを差し出してきたのでな。
「フハハハハッ。子供だましである。……悪の帝王に飴などいい度胸だ。ならばこちらも相応の礼をくれてやらねばならんな」
というワケで、家に届けてやることになったのだ。
……本当に、なんと子供だましの展開か……。
掌の中の飴の表面が溶けだして、ジワリと肌にまとわりつく。
まったく、飴なんて子供のころ食べた以来で、大人になってからはめっきり味わっていなかったものだ。
懐かしさを刺激されて、我輩は溜息を吐いた。
……そういえば、我輩の中で正義と悪が逆転してしまったのは、いつのことだったろうか……?
子供の頃は普通にヒーローに憧れたものだ。
正義に憧れたものだ。
真面目にコツコツやれば正義の味方にもなれるのだと、そう信じていた。
だが、どうだ。
真面目に大学を出て、真面目に就職をしてみれば……。
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