悪の名のもとに編

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社会は真面目なんてモノには見向きもしないではないか。 社会でのし上がれるのは、 人を蹴落とすことを何とも思わない者。 人を利用することを躊躇わない者。 人の気持ちを飼い慣らすことで踏み躙る者。 そういう不真面目にガツガツやっている連中ばかりだ。 社会とはどこまでも理不尽だ。 そしてその理不尽を皆に強要する。 我輩にも、だ。 真面目であろうとなかろうと関係ない。 従わなければ迫害され、排除されるだけなのだ。 この理不尽な社会で生き残れるのは、理不尽なことに右ならえできる者だけだと思い知った。 ああ、幼い頃にテレビで見た悪の組織。 世界征服という目標を掲げ、社会に戦いを挑む組織。 大人になってみれば、それはとてもすごいことだった。 それは奇しくも、幼い頃に我輩が望んだ正義の姿そのものだったのだ。 ……そうだ……。 ……この理不尽な社会では、けっして正義になど憧れるべきではない……。 ……憧れるべきは……。 我輩は会社を、いや社会を辞めた。 ……悪の名のもとに世界を征服してやろう、と……。 ……我輩は……。     
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