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「ありがたきお言葉。このアイキュー。見事、帝王のご期待に添えてご覧に入れましょう」
「うむ。で、何という名にするのだ?」
「はい。我等は悪の秘密結社。世間を欺き世界制服を果たすべく奮闘する組織です。ならば名は親しみやすいもののほうが、巧く欺けるというものです。でも、同時にちょっとカッコ良さは出したい」
「なるほど」
「僕は常々、マツモト◯ヨシって親しみやすくてカッコ良さもちょい出てるなと思ってたんですけどね」
「……まあ、そうだな……」
「それにならって、アイザワザワオいうのはどうですか?」
「…………誰……?」
「あ、僕の本名です」
「却下ッ」
「タナカサブロウは?」
「それ、我輩の本名ッ」
マツモト◯ヨシのくだりから雲行き怪しいなとは思ってたよッ。
「ったく、誰かまともな意見を出せるヤツはおらんのか?」
我輩、イライラしていた。
こいつらは会議のカの字も知らん。
脱サラして悪の秘密結社を作ってみたが、こうなってくるとあれだけ嫌だったサラリーマン時代が恋しくなるから不思議だ。
つうか、よく見たら、まあ……。
向こうの怪人は鉄球ぶら下げたり、こっちのは首にヘビ絡ませてたりしてやがる。
100の目を持つ百目怪人なんぞ全裸。そんで全部の瞼にマジックで目を書いて寝てる始末。
……ちゃんとスーツ着てこいよ……。
あ、電話だ。
「もしもし、悪の帝王であるが?」
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