命名編

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《偉大なる帝王様。すみません。どうやら、ゴホッ、風邪をひいたみたいで、ゴホッ、……今日は休みます。ゴホッ、ゴホッ》 そんな嘘くさい咳で、電話は切られた。 ちなみに電話の背後では思い切り、町の雑踏が流れていた。 つうか、名を名乗れッ。 ただでさえ戦闘員は区別が付かんのだ。 どこのどいつか、さっぱりわからんッ。 ダメだ。 このままでは悪の秘密結社はダメになる。 規律を厳しくせねば。 秩序を重んじねば。 もう社名など、タナカサブロウで構わない。 そんなことより、社員の意識を改革せねば。 さしあたり出社後に近所のゴミ拾いだな。 我輩が手本となって、悪の名の下、皆に正しい悪を示さねばなるまい。 「って、あれ? いつの間にか、誰もいなくなっておるッ。アイツら、サボって飲みに行きやがったなッ」
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