9人が本棚に入れています
本棚に追加
宿敵編 1
我輩は悪の帝王である。
言わずと知れた秘密結社のボス。
そしてそんな我輩に必須ともいえる者共が、その日、ついに現れたのである。
それはギラギラと太陽の輝く、暑い日のことだった。
我輩は、アイキューと数人の戦闘員を伴い、スーパーで買い物を終えての帰路についていた。
そこに、
「ついに見つけたぞ。悪の秘密結社ッ」
不意に背後から声をかけられ振り向くと……。
「リーダーのレッドッ」
と、赤いヒーロースーツの男が、
さらには、
「イエローッ」
と、黄色のヒーロースーツの男が構えていた。
ついにヒーロー戦隊が登場したのかッと、我輩は身構える。
が、
「あれ? レッドとイエローの2人だけなのか?」
我輩、あたりを見回すが他には誰もいない。
しかもよくよく見れば、
レッド、なんかちょっと腰曲がってて、プルプルしてる。
さらにイエローのスーツは下がモモヒキだ。
……中身は間違いなくお爺ちゃんだ……。
後期高齢化社会の余波がこんなところにもきているとは。
「アイキューよ。どうしよう?」
「私の計算によると、この炎天下で戦うのはさっき買った挽肉がわるくなってしまいます。……なので、ワタシは帰ります……」
「逃げたなッ、アイキューッ」
やばい。お爺ちゃん相手にボコボコ戦うってのは、精神的にも社会的にも、かなりキツい。間違って怪我でもさせた日にゃ、もう、心折れること間違いない。
どうしよう?
「何をしているッ。さあ、覚悟しろ。悪の秘密結社よッ」
見れば構えるレッドの背後では、イエローが他の3人のメンバーの遺影を掲げて立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!