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それでも、どこかでバッタリを私は期待して、出かける時は、ついつい気合を入れて髪を整え服を選んだ。どうせバッタリ会ってもこちらから声をかけられないに決まっているのに、万が一先生の視界に入った自分が最悪の見た目だったら死にたくなるからだ。
夏休み、私は、一度だけ用もないのに学校へ行った。
中に入るのではなく、周囲を自転車でぐるっとまわった。
最初は、受験勉強を図書館でしようと家を出たのだけど、どうも集中できなくて、ふと思い立ち学校へ向かってしまったのだ。
先生は、陸上部の顧問もしているから、ひょっとしたら校庭にいる姿を見ることができるかもと思ったのだ。
なんだか私は、ストーカーみたいだ。でも、相手にバレなければいいよね……と私は心の中で言い訳をする。
そして、私は、半月ぶりくらいに遠くから先生の姿を見ることができた。
Tシャツにジャージ姿の先生にきゅんとする私は、おかしいのでしょうか。胸がじんわり熱くなり、私は溜息をついた。やっぱり好きだなと思う。
しばらく先生を見てから私は、また図書館に戻った。
もう仕方がないなと諦めの心境だ。
好きになっても仕方がないけれど、好きなのだから仕方がない。
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