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これはナニ?
「ねえ、小百合お姉ちゃま。お皿に乗ってるこの真っ黒い菱形のモノは何カナ?」
テーブルに座る三女の和香が、向かいに座っている姉の小百合に聞いた。
「そ、それは塩鮭です」
視線を斜め下に逸らしながら、小百合が答えた。
「これは、塩鮭というより、かつて塩鮭だっタモノというか、菱形の炭っテ感じだよネ?じゃあ、こっちの平べったい焦げ茶色の円盤はナニ?」
「め、目玉焼きです」
小百合は晩秋の夜更けに飛んでいる蚊の羽音のような声を絞り出した。
「投げたら20メートルくらい飛んデ、りんが走って行って咥えそうな目玉焼きダ」
既にドッグフードを食べ、ソファに伏せていたりんは、和香が箸で持ち上げた、こげ茶色の円盤を見て渋い顔をした。
「いや、りんも咥えないネ、コレ」
和香は客観的に言ったのだが、
「和香ちゃん、私の作った料理は犬も食べないってことですか!!?」
小百合が涙目になってテーブルを叩いた。
「ご飯だって、ご飯だって、、、炊飯のスイッチ入れたつもりが保温のスイッチで、ベッタリして中に芯のあるコッツンご飯だけど、、、うわーーん」
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