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依 頼
三人姉妹が贔屓にしている「五十嵐ラーメン」は伊佐市の北のはずれにある、小さな食堂である。
創業60年を超える店は、豚骨ラーメンがメインメニューであり、昔から変わらぬ製法でコツコツ長い時間をかけて煮込んだ、手の込んだスープは三姉妹のお気に入りだ。また、五十代の三代目女将と女将の妹二人の三姉妹で店を切り盛りしているところも、いずみ達に親しみがもてた。
「いつもご贔屓ありがとね」
女将が、厨房からカウンター越しに泉に話しかけた。
「実は私、今日、大阪出張から帰ってきたばかりなんです」
泉が箸を置いて答える。
「うちに帰ったら、この子たち、もの凄く悲壮な顔をしてるんですよ」
「あらまあ、どうしたのかしら?」
「私が留守の間、ろくなものを食べていなかったみたいで。まさかここまで自炊能力ないとは思いませんでした」
「最近の若い人たちって、大抵そうだよ」
カウンターで、満面の笑みでラーメンを啜る妹二人を見やりながら泉はふと呟いた。
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