依 頼

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 「でも、困ったわねー。今年から来年にかけて、祓い屋協会の評議会や総会、仕事の出張もちょくちょく入ってくると思うのよね。これじゃおちおち家を空けられないわ、、、、」  泉たち三姉妹が食べ終わろうとしている頃、ラーメン屋の赤い暖簾が持ち上がり、ガラス戸が開いて、細身で作業服姿の壮年の男が店に入ってきた。白髪交じりの角刈りで、細い顔に鋭い目つきで店内を見まわし、小百合と目が合った。小百合は男に気が付くと、頭をちょこんと下げる。知り合いなのかしら、と泉が思う間もなく、男はそのまま、泉とひとつ席を離してカウンターの一番奥に座った。    少し機嫌が悪そうなのが分かる。  小百合が、小さな声で泉に告げる。  「仕事でお世話になっている、村山建築の村山社長さんです」 泉は立ち上がり、  「妹が仕事でお世話になっております。山口の姉の泉です」と礼をした。  途端に村山の顔が少し柔和になった。  「ああ、山口技師のお姉さんか。いや、彼女の仕事っぷりはなかなかいいよ。役所の職員にしとくのは勿体ないね」  「あ、ありがとうございます」  泉を挟んで小百合が頭を下げた。  「何かあったの?今日はいつもに増して眉間の皺が深くて、機嫌悪そうだけど?」  女将が村山に問いかけた。  「俺も思った通りにモノを言う方だけど、女将には負けるね」  お茶を飲みながら村山が笑う。     
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