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「実は、先日請け負った仕事、国道の工事で、用地にかかった空き家を取り壊すってものなんだけどさ、とりかかろうとすると、重機が急に動かなくなったんだよ。重機リース屋に来てもらってみても、どこもおかしくない。ちゃんと動くんだ。でもいざ取り壊しの工事に掛かろうとすると、また動かなくなってさ。終いには、重機の運転手が具合悪いって言いだして、熱を出しやがって。風邪なんて十年も引いたこともない頑丈な野郎なんだがね」
「不思議な事もあるものだわね」
女将が麺を上げた網を菜箸で叩きながら相槌をうつ。
「でさ、うちの社員の野郎どもが、家の中に誰か居るって言いだしてさ。最初はホームレスかなんかが住み着いたのかもって、警察まで呼んで中を調べたんだが、人が入った形跡も無いんだよ。気のせいだから、早く仕事に取り掛かれって言うんだけどさ、野郎ども、もうビビっちゃって仕事にならないんだよ。この家は何かに取り憑かれてるって抜かしやがってさ」
「お待ちどうさま。チャーシュー特盛ラーメンね」
女将が、出来上がったラーメンを、カウンター越しに村山の前に置いた。
そして、泉達三姉妹を横目に見ながら、にっと笑って言った。
「それなら、泉さんたちがなんとかしてくれるかもよ」
「この子達が?」
村山は驚いて、三姉妹と女将を交互に見てそして声を上げた。
「あー!!聞いた事があるよ。腕利きの祓い屋姉妹がこの街にいるって。あんた達の事だったのか」
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